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加賀シリーズ最新作。
今回も現代の社会問題と上手く絡めつつ、いくつもの視点が収束していく感じが面白かった。
とりあえず今回は「派遣社員」だったわけだけども、裏テーマ?である「父と子」がそのものずばり加賀さんの問題でもあるのが今回の面白み。
若干真犯人絡みの話が唐突過ぎるとも思ったけども、「ミステリー」ではなく「読み物」なんだよな、ということで納得。
あまり感情の見えない加賀さんの、久々の激昂が見れたのがよかった。
この一冊だけでも十分読めるけど、やはりシリーズで読んでこその激昂シーン。
「悪意」での叙述トリック、「新参者」の構成のうまさ、同じシリーズでも毎回違うアプローチで読者を見せてくれる東野圭吾、なんだかんだでやっぱりすごい。
読みやすい癖のない文章、筆の速さ、作品の一定の水準、このあたりが東野圭吾の強みだと思うのですが。
しかし帯にある最高傑作!の文句は煽りすぎな気がする。
この作家さん、毎度思うけども題材の目の付けどころがいいなあ。
今回も題材がいい。そして、その題材を生かして謎解き(論証)から人情話まできっちりやってのけている。
論証は若干力押しの部分はあるけども、まあ目くじら立てるほどでもないので。
一話目を読みだした時点では、まさか部長が狂言回しになるとは思わなかった。
一話と最終話で話が繋がって、スッキリした読後感なのもいい。
閉塞的な田舎町の中で少女が出会った「魔法使い」。平凡な日常を、特別なものにしてれる存在。
都会の香りを纏った美少女が語る復讐譚に主人公は引き寄せられていく。
まだ何かが起こると信じていた、この退屈な日々は東京に行けば変わるんだと思っていた、17歳の女子高生だったあの頃。大人になってしまった24歳の今。
そして、大人になってしまった主人公千種の元に、出所不明の現金三千万と共に「魔法使い」たる鞠子が転がり込んでくる。
わたし自身が埼玉の極々東京寄りの、この手の「東京に行くんだ!行けば変わる!」という焦燥感とは無縁のところで生まれ育ったもので、どうも感情移入がし辛い。
とはいえ、特別な女の子のヒミツを自分だけが知っているという優越感から来る高揚感、裏切られた時の恥ずかしさや怒りという思春期的感情は万国共通であって、そのあたりの展開は胸に迫るものがあった。
鞠子の行動理念が最後までいまいちわからず、鞠子に会いに田舎町まで帰るラストシーンにあまりカタルシスを感じないのが残念。
女子高生時代の話においては神秘性を持たせるためにも鞠子側の描写は必要ないけども、大人として再び千種と向き合おうとする鞠子を描くのなら、もう少し鞠子側の心情も欲しかったところ。
しかし、どうにも登場人物に魅力を感じないというか、むしろイラッとさせられるというか。
調子がいいだけの無職で浮気癖の彼氏に金は渡すわ、ズルズル付き合い続けるわ、よくわからない理屈で同僚との結婚の話を蹴るわ、もうこの辺りはひたすらイライラ。
駄目男と駄目女同士でくっつくように世界は出来ているのかもしれない。
目の前で親友の彼氏を寝取る女も、彼女不在の間に彼女の部屋で彼女の親友と浮気する男も、その行動を許してしまう女も、もうみんな駄目人間。ごめんなさい、理解不能です。
あとがきを読んで「キーリ」が9年前という事実に驚愕。
最終巻だけ読んでないんだよなあ、たしか。
当代随一のベストセラー。
話のタネにでも、と読んでみましたが、酷い。あまりにも酷い。この言葉しか出てこない。
あまりの酷さに10ページで「クソ本オブザイヤー」に決定しました。まだ4月なのに。
なにを置いても、文章が酷過ぎる。本当にこれに尽きる。
「○は△した。□だった。ところが○は×だった。」の繰り返しで、小学生の作文か何かかというレベル。
主語、述語、動詞。主語、述語、動詞の繰り返しに加え、段落が異常に多いので読みにくいことこの上ない。
文章の呼吸、リズムというものがまるでなく、読んでいて頭が痛くなってくる。
言葉の使い方のおかしさ、口語と文語が混ざり合った文章に語彙の少なさ。誰も指摘する人間はいなかったのだろうか。「ドラッガーにはこう書いてあった」のフレーズは何十回出てくるんだ。
小説として基本的な文章の出来が壊滅的である上、描写の陳腐さ、登場人物が物語を進めるためのコマでしかないなど、褒めるところが1つもないという圧倒的クソ本。
もうオブラートとか包まないよ。クソ本だよ。
「女子高生」「ドラッガー」「アニメ調のイラスト」という組み合わせの斬新さと、宣伝だけで売れた本だったんだな、としか評価を下せない。内容に見合わない大々的な宣伝も、作者の経歴を考えるといろいろ考えてしまいますね。
小説として読んでしまったのが間違いで、ドラッガー入門としてなら「興味を持たせる」という意味では優秀な一冊なのかもしれないけども。褒めておきますよ、一応。
個人的には主人公みなみの幼なじみ、夕紀がご都合主義の塊としてしか存在し得なかったのが一番痛いところだったと思う。
もともと人物描写と言うものがほとんど存在せず、「セリフ読み機」としての役割しかない登場人物の中で、もっとも都合のいい人間だったのが夕紀。
主人公と夕紀、もう1人の幼なじみ次郎の関係を軸に野球部関連の話を持ってきていれば、夕紀の結末から受け取るこちらの印象もまったく違ったものになっていたのではないか。
だいたい傍から見たらピンピンしてて部員を頻繁に病室に招ける余命三カ月の病気ってなんだ。ご都合主義病か。
(あと亡くなった当日に通夜、翌日葬儀なんてのは現実的にありえない)
人物描写というのが物語を進める上でもっとも重要なのだと、この一冊でほとほと痛感させられました。
何を思い、行動を起こしているのか。話す言葉の裏にあるもの。そういったバックボーンがあってこその人間関係であって、記号的に「幼なじみ」「親友」と配置されているだけでは、物語に殺されたようにしか読めない。描写って、大事。
素人がそれっぽく書いた、それっぽい本、ただそれだけです。
ついに文庫化!ついに!
早く文庫化しろとか暴言吐いてすいませんでした(笑)
単行本の発売から6年くらい経ちましたが、文庫化まで長かったですね。
あまりの長さにいろいろ勘ぐってしまっていました。
しかしこのタイミングでの文庫化、なにかまたメディアミックスでもあるのか。勘弁してほしいですが。
表紙も単行本版のイメージを崩さない感じでグッド。
陸の孤島のような閉ざされた学園に「島流し」されてきたワケありの資産家の娘たちの物語。
少女小説の極みというか、終息点というか。
螺旋階段にチェス盤模様の床、「ラプンツェルの塔」と呼ばれる寮。好きなものが好きなだけ、お金を使わずに手に入るダウンタウン。マフィンに桃の香りのシャンプー、カモミールティー。
出てくるアイテムの可愛さ、少女にとっては夢のような世界にも関わらず、終始付きまとう閉塞感。
望むものはすべて手に入る。しかし外の世界の情報と現金だけは執拗なまでにシャットダウンされ、少女たちは国の総理大臣が誰なのかもわからないまま箱庭の世界で生き続ける。
ファンタジーとノスタルジックが同居した、90年代の少女漫画のような世界とじわじわくるホラーのような雰囲気のさじ加減が絶妙。
この手の箱庭系学園物で、登場人物が高校生以上なのもめずらしい。
「生まれた意味は判らないのに、自分がこの世に生きていなければならない理由だけが明確すぎる」
「戦争をしている人たちの気持ちに比べれば自分の寂しさや悲しみなんてちっぽけなものなのに、その寂しさや悲しみで死んでしまう人もいる」
この辺りがこの作品の本質というか、少女の本質を突いているなあと思う。
登場人物は4人だけだけども、その関係性は濃密。閉じられた世界、閉じられた人間関係の中。
その中で生まれる愛情と孤独と嫉妬と執着。小さな世界が少しだけ広がっただけで、少しずつ壊れていく少女たちの姿が憐れだと思いつつも、ゾクゾクしながら読み進めてしまう。
時折出てくる学園側の人間が機械的というか人間味がなさ過ぎて怖い。見事なまでに4人以外の思考や人間味が割り込まないので、本当に世界の中に4人だけが閉じ込められているような気すらしてくる。
うーん、この世界観、少女ホラーとでも呼ぶべきか。
帯に推薦文を寄せているのは『マリア様がみてる』の今野緒雪。
リリアンのようなさわやかさはかけらもない本作ですが(笑)
相変わらずの森見ワールド。森見節炸裂。
京都の大学生たちが、持て余す若さと妄想と世間へのやっかみを捏ね繰り回して捏ね繰り回してみょうちくりんな騒動を巻き起こす短編集。
嗚呼、自分に語彙力がないのであの奇天烈なやり取りをまったく表現できない!
森見作品は独特の言い回しからくるコメディっぽさとファンタジー色に目が行きがちではあるけれども、その実、以外にもまっとうな青春小説である。
青春がなんだ!クソ喰らえだ!と言ってる阿呆どもが、わたしには十分青春を謳歌しているように見えるのです。
おかしいな。何をやっていたんだろ。馬鹿じゃなかろうか。そもそもなんで人に好かれる必要があるのだ。べつに嫌われたっていいじゃないか。そうだろ?一人で平気ならそれでいいじゃないか。四畳半に籠もっていても、自分が好きであればいいじゃないか。
「グッド・バイ」のこの部分が印象的。
「恋文の技術」の文庫も買いましたよ。
文庫と単行本で装丁が変らないのが嬉しい。
本屋大賞発表。
面白くもなんともない結果に。ううむ。
文学賞は信じないわたしも、本屋大賞だけは(内容的な意味で)信じていたんだけども。
今回の大賞作については下の記事で書いた通り、あくまで普段読書をしない層向けの読書入門書、といった内容なので本屋大賞の大賞にふさわしいのか、と言われると疑問が残るというか。
本屋大賞って、読書好きが選ぶ、読書好き同士へのお勧めセレクト大賞!みたいなものではなかったっけか。そう思っていたのはわたしだけか。
そういう点で、やはり「謎解きはディナーのあとで」は物足りないなあ、と思う。
というかもう大ベストセラーになっていて、どの書店でも大々的に取り上げられているのだから今更「本屋大賞」もないでしょう、と。
大賞は逃したものの、個人的に一押しなのは「ペンギン・ハイウェイ」。
可愛くてちょっと切ない、大人のためのファンタジー。装丁がまたいいんだ、これが。
森見登美彦作品なのに舞台が京都ではないという異色作ながら、随所に森見節が炸裂していていいかんじです。大好きです。
あと個人的2010年大賞はこの本です。